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気ままにその日暮らし

【野原滋】 そらのだいじな旦那さま

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 最近、以前に増して健気受が好物になっている気がします。
 やはり自分にこんな風な健気さとかいじらしさなどという可愛げが欠片もないせいなのか…と、健気受を年々求めるようになっている自分に気付くたびちょびっとだけ切ない気分になる祐ですどうも。

 今作はザ・王道という感じのシンデレラストーリーとなっております。
 親や養父母から虐げられ不憫な人生を歩んできた主人公が他国の王子様に愛され幸せになっていく定番ものです。
 不憫受・健気受がお好きな方は読んで損はない1冊。

 

 ≫ あらすじ

 難産の末に母が亡くなったせいで父に疎まれ、双子の姉の身代わりに人質として新興の小国に嫁がされた捨。しいたげられた生活の中でも捻くれることなく無垢なまま育った捨は、強く優しい夫の高虎に「空良」という名前を与えられて初めて生きる意味を見つける。高虎の役に立ちたいとけなげに振る舞う空良だが夫婦の契りに関しては知識がなく……?

 

≫ 登場人物

捨・空良(受)
 小国・伊久琵の領主の末子。十六歳。忌子である双子として生まれたうえに母親の命と引き換えだったせいですぐに厩番の夫婦の元へ事実上捨てられ、そこでも虐げられつつ育ったわりに素直で優しい心根の、馬小屋育ちのシンデレラ。常人以上に優れた第六感という特技を持っている。

三雲高虎(攻)
 隼瀬浦の領主の子息。二十二歳。軍を率いれば「鬼神」と呼ばれるほど強く、しかし優しく誠実な若君。出会ったときから空良のことを大切に慈しむスパダリ攻。

次郎丸
 高虎の弟で正妻の子ゆえ三雲家の嫡男。十歳。偉そうな物言いをするが優しくて素直。兄である高虎が大好きで空良にも懐く和みキャラ。

魁傑
 かつては山賊の頭だったが、敗れた高虎に手厚く介抱されたことに恩義を感じ現在は高虎の一番の臣下。次郎丸と良いコンビ。

 

≫ 感想

 架空の時代もの+王道シンデレラストーリーということで楽しみにしていたのですが、こういう不憫な受が攻に大切に愛されて幸せになれるお話が大好きな私としては期待を裏切らない内容で大変楽しめました。
 健気受は過剰な謙虚さとか卑屈さとかネガティブぐるぐると健気さのバランスが大切だと個人的には思っているのですが、このお話の受である空良は不憫ながらも一切卑屈になることなく天真爛漫で愛され気質な性格がとても好感が持ててお気に入り。そのうえ、愛され庇護されるだけでなく自分の特技を活かして貢献したり次郎丸をかばったりと健気で芯の強い一面が見られたのも◎
 育ってきた境遇の不憫さは読んでいる方がひたすら胸が痛いほどだったのに、それを決して恨まないどころかまだ自分は幸せだったと言い切る清廉で無垢な一面がますます庇護欲をそそる可愛らしい健気っぷりでした。
 もちろんそんなピュアっ子なのでシモ関係(彼に対してはこの表現のゲスさに我ながら自己嫌悪するレベルだが)もまっさら無知全開。旦那様にイチから手取り足取り腰取り教えられてゆっくり色気が開花していく様子は健気な可愛さとはまた違った萌えが楽しめて良かったです❤

 スパダリな旦那様である高虎も登場からひたすら好感度が高く、誠実で優しさに溢れた、頼りがいのある様子は文句なしで安心感を与えてくれる良い旦那様。空良の前では軽口を叩いてみたりおどけてみたりと、お堅いだけじゃない、温かみが感じられるような優しさも高ポイントでした♪ 周囲に愛妻家であることを隠さず幼い弟の前でも堂々とイチャつく様子とか読んでて楽しかった!

 ほか、早い段階から空良の傍に居て楽しませてくれた次郎丸や魁傑も同じく空良への親愛が伝わってくる態度と言動が安心して楽しめて良かったし、年が離れているわりになんのかんの仲の良い二人のやりとりが微笑ましくてお気に入り。
 もしかしたらゆくゆくは兄上から魁傑を取り上げ自分の傍に置くんじゃないかな~とか色々先の妄想…もとい想像を巡らせるのが楽しい二人でした(笑)

 ストーリーも不憫な設定はあるけど重くなりすぎずに気楽に楽しめるのもオススメポイント。