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賞味期限切れnote

デスマ中につき暫しの休息

【一咲】 ファミリー・レポート

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お前の言葉で俺を口説き落としてみろよ。

 子供は出来れば男の子がいいのですが、親である攻より受にめちゃくちゃ懐く女の子も大変可愛らしくて萌えるなと思いました。
 家族ものブームがまだまだ続いている祐ですどうも。
 あらすじを読んだときから購入する気ではいたものの、ひなこさんの描かれる子供が可愛いうえに助けを求めるように父親より受のほうに手を伸ばしている表紙を見て、ああこれはツボると予感しておりました。受とそれに懐く女児、最高👍

 

≫ あらすじ

 歯に衣着せぬ性格が祟り不当解雇された春樹は、夜の公園で一人家族の帰りを待つ幼い女の子・葵を見かけ保護する。翌日、迎えに現れた父親の水野を責めると、自分は救命救急医で滅多に家に帰らず、妻が離婚届を置いて出て行ったという。呆れる春樹に、彼は前職と同額だすから家政夫をやってくれと持ちかけた。葵が可哀想で引き受けるが、水野は顔と仕事は完璧な反面、言葉足らずで無愛想、その上、家事も子育てもできないポンコツ人間で…。

 

≫ 登場人物

 瀬名春樹(受)
 不当解雇された元エンジニア。思ったことをオブラートに包めない性格ゆえに人付き合いが上手くない世渡り下手。過去のトラウマのせいで恋愛に消極的な不器用ゲイ。

 水野博志(攻)
 大学病院の救命医。離婚届と娘だけを残して妻に出ていかれたバツイチ。育った環境のせいでやや情緒欠落ぎみだが、本当は娘を大切に思いちゃんと愛情を持っている不器用パパ。ノンケ。

 水野葵
 博志の娘。出会ったときから優しくしてくれた春樹を“はるくん”と呼んで父親よりも懐く。心の底では愛情を欲している健気な子。

 

≫ 感想

 一咲さんデビュー作。
 あとがきを読んで今作が初オリジナルBLだというのにはビックリしましたが、さすが同人歴10年だけあられてすごく読みやすいうえに過不足なくまとまってて今後も期待の新人さんでした。
 文章の書き方はもちろんのこと、構成もしっかりしつつテーマを織り込んで展開されていく物語運びがお上手でデビュー作の拙さみたいなものは全然なかったし、まあ強いて挙げるならばちょっと似たような表情描写が多かった(苦笑や自嘲系)のは読んでて気にはなったけど、帯に「実力派新人」と書かれてたとおりの実力派作家さんで今後が楽しみになる作品でした。


 ストーリーの感想としては、冒頭に書いたように春樹に全力で懐く葵は健気で可愛く、そんな葵と春樹のコミュニケーションは子育てものが大好きな私としては申し分のない微笑ましさで◎。
 性質的に似た者同士の二人が子供である葵を鎹に距離を縮めていく過程は少しずつ出来上がっていく家族というものを感じさせてとても面白かったです。
 多少の不器用さはあれどやたらと子供の扱いが上手い春樹の手助けや思慮もあり、最初は赤の他人のような関係だった水野と葵がちゃんと親子になっていくのも微笑ましいと同時にホッとできて良かったです。

 

 二人ともが人とのコミュニケーションという点ではぎこちなさが先に立つようなタイプなので決して甘い雰囲気ではないけれど、相手の内面や思いを知ることでゆっくり関係を作り上げていく様子は不器用さん同士らしい可愛げがあって見守りたくなる大人二人のお話。
 家族ものらしく、カップルというより色んなものを補い育みつつ家族になっていくのが楽しめる1冊でした。お互いに自分の欠点であった部分が三人での生活を通して改善されていたのも良い結果だったと思う。あと春樹の恋愛への臆病さも可愛かったけど水野の不器用な愛情表現が個人的にツボでした。

 家族ものがお好きな方にはオススメしたい作品。

 

ファミリー・レポート (ショコラ文庫)

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