賞味期限切れnote

デスマ中につき暫しの休息

【月村奎】 初恋大パニック

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俺のこと、ちょっとでいいから好きになってよ!?

 こういう作品を読むと、地味でもいいベタでもいい、王道ラブコメは外せないなと改めて思います。金太郎飴作家?上等じゃないですか。たとえ同じような作品ばかりだったとしても長年ファンを楽しませてくれる月村作品が大好きです。

 

 
 ≫ あらすじ

 初打ち合わせの日、最悪な初対面を果たしお互いにいけ好かない感情を抱いた二人。当然、作家と編集としてもうまくいくはずがなかったが、見下していた壮介の前で予期せぬ姿や本音を晒したり、劣等感を抱き苦手意識を持っていた旭の意外な一面を見たりしているうちに惹かれ合っていく、マイナスからプラスへ転じる出版業界もの。恋愛面でも片や引きこもりニートの童貞、片や百戦錬磨のテクニシャンだと互いに思い込んでいるところも見どころ。

 

≫ 登場人物

 小宮山旭(受)
 有能さを買われてコミック編集部から文芸編集部へと移動してきた編集者。担当作家とは恋愛することをタブーとし、ゲイであることを隠しながらも恋愛面では遊び慣れているふうを装うが、実は恋愛経験は一度もない心身共にピュアな人物。

 藤原壮介(攻)
 有名家系に生まれ、ゆえに鬱屈が爆発してニートになり、その中で書き殴った初稿作品が文学賞で大賞を取って大ヒットしたハイスペックニート。ネガティブで卑屈な性格が旭を好きになったことで改善され一途なゾッコン年下攻に変身。旭は童貞だと思い込んでいるが実は十代の頃に一通り経験している。

 

≫ 感想

 最初は反発し合っていた二人が様々なキッカケを経て徐々に惹かれあい最終的にはお互いにベタ惚れになっていくのが面白かったです。とくにハイスペックニート年下攻のゾッコンっぷりは大変萌え。過去にはそれなりだっただけに程よく小慣れたふうもありつつ、けれど必死さが前面に立ってるあたりがとても好みでした。
 旭のほうは、実は百戦錬磨の遊び人という肩書とは真逆な初心さでギャップが可愛かったし、本人は必死で自分の気持ちにブレーキをかけて有能編集であろうとしている様子が微笑ましい。そして終盤、童貞だと思い込んでた壮介のスマートな手慣れ感に怯えたり嫉妬したり安心したりと忙しかった初エチはニヤニヤしちゃうくらいツボでした。終わったとたん仕事の話をしちゃう照れ隠しも旭らしくて良かったです。

 冒頭にも書いたけど、ご本人はあとがきにて金太郎飴作家と仰ってましたが長年変わらず萌えや胸キュンを味わわせてくれる月村さんの作品は、派手さはなくても充分魅力があるなあと再認識。
 今作では(月村さん的に)珍しく交互視点で書かれたそうで、二人の心理面がわかりやすかったのも追いかけたり逃げたりのコミカルさを気楽に楽しめて良かったと思います。

 

初恋大パニック (SHYノベルス)

初恋大パニック (SHYノベルス)